2017年10月CRN研究会のご報告

・14時~15時20分

片山 新太 様  名古屋大学未来材料システム研究所(IMaSS) システム創成部門  

 

『 土壌細菌による有機質廃棄物の減容化 』

 

 『土壌細菌による有機質廃棄物の減容化』産業廃棄物の中で多くを占める下水汚泥や家畜糞尿(ふんにょう)などの有機質廃棄物を、堆肥化する反応は、乾燥・減容化技術として見ることができ、それがどれだけ減容化するかである。

 

 

1.   有機質廃棄物と微生物

 

微生物の多様性

・動物と植物を除くと、微生物は多様だ!

参考資料 HP 微生物分析サービス

  http://www.mitsui-norin.co.jp/mmid/index.html

 

 

◆発酵も微生物の働きによります

酒、 ビール、 酢、 納豆、 醤油、 味噌、 漬け物、 キムチ、 ヨーグルト、 チーズ、・・・・

~酵母、 、コウジカビ

◆微生物に頼る人間活動の後始末

       排水処理

      活性汚泥法、接触酸化法

       廃棄物処理

      堆肥化、メタン発酵

       汚染土壌地下水の浄化

      有害化学物質の無害化

 

 

2.   減量化技術としてのコンポスト化

 

◆堆肥化反応

  1.好気性 vs 嫌気性

好気性発酵の方が減量化大

初期水分を70%未満にしないと好気性が保てない

好気性発酵に水分調整剤(おが粉、ワラ)が使われる

  2.高温性(>60℃を1週間以上) vs 中温性(室温程度)

高温性発酵では病原菌・雑草種子が殺菌される

減量化は同程度か、むしろ中温性の方が大きい

  3.一次発酵 vs 二次発酵

一次発酵では易分解性有機物が分解(発熱を伴う)

二次発酵では難分解性有機物が分解

  

 

◆一次発酵の例 

14日間の温度、O2、pH、EC  ~それぞれの変化をグラフで説明を受けた。

 

◆コンポストの量(乾物基準%)とC/N比の変化

 一次発酵(2週間)で、約30%(乾物基準)の減容化

◆二次発酵

 二次発酵では、月単位で変化がわかる 

初期値に比べて、40-50%の減容化率

 

 

 ・成分の変化

   糖、タンパク質、脂肪 → CO2+NH3+高分子

 

 

3. 土壌に投入された有機物の固定化

 ◆有機物連用圃場の作付作物

  スイートコーン、ダイコン、バレィショ、京水菜・・・キャベツ、メロン  など

 

◆1987年スタート時の土壌断面 から

◆固定化される炭素の量

試算 日本の畑面積:200万haとしたら 100t-C/haとして2億t-C/haという推算値

 約1年分程度か?

 

 

4. 土壌有機物の生物電気化学的機能

◆土壌中に導入される炭素

 

水溶性腐植酸を電子受容体とする

水溶性腐植酸が、酸化還元を繰り返して鉄還元反応を促進する。

→ 電子伝達物質として機能する。

 

◆嫌気性微生物によるPCP脱塩素反応

 

◆微生物と細胞外電子伝達材料が一体となった微生物電極システムの開発

 

 

 

2・15時30分~17時

 千葉  賢 様   四日市大学環境情報学部教授  工学博士 

『 伊勢湾の水質・底質の長期的な変化傾向とその原因推定 』

  

 昭和の高度経済成長期に悪化した伊勢湾の水質は、1979年からの水質総量規制で漸次改善してきたが、海の豊かさが戻って来ない。夏場に発生する貧酸素水塊の規模は今でも変わらず、水産業は不振が続いている。講座では、水質、底質、水産漁獲量等の長期的なデータを示し、その原因と考えられる点を幾つか上げる。 また、大規模数理モデルを紹介し、それによる解析結果を紹介する。伊勢湾の海洋ゴミ問題についても紹介する。

 

 

 

台風21号による答志島の漂着ゴミ被害

 

 

第1章 伊勢湾を取り巻く環境変化

 

第2章  伊勢湾水質の長期的な変化傾向

 

湾表層の全窒素濃度

5-10月期平均値

水質総量規制の始まった1980年代から順調に減少傾向にある。

 

湾表層のTOC濃度

5-10月期平均値

2000年代に最大となり、現在は減少傾向にある。

 

 

湾表層のクロロフィル濃度

5-10月期平均値

全湾で見ると1990年代頃から減少してきたが、湾奥部では2000年代に最大となった。

 

 

第3章   伊勢湾底質の長期的な変化傾向

 

第4章  貧酸素水塊の発生のしくみと潮汐や風への応答

 

第5章   貧酸素水塊長期化の原因を考える

 

◆貧酸素水塊長期化の推定要因

過去の過剰な富栄養化の時期に海底に堆積した有機物(ヘドロ)の影響

外海の水質悪化

干潟とアマモ場の減少

魚介類資源量の減少

内部生産された有機物の分解特性の変化

湾口部を通じての表層の物質の底層への還流

 

 

 

◆第4章~第6章のまとめ 

潮汐条件により外海水の侵入深度が変化し、貧酸素水塊の消長に影響する。

風向により貧酸素水塊は海底で移動する。北西風の場合、湾央底層の酸素濃度が増加する。貧酸素水塊の経年変動に風向きが影響している可能性がある。

湾海底には60~80年代に堆積した難分解性有機物が残存し、今でも海域に一定の影響(貧酸素水塊の体積で20%程度)を与えている。

コンピュータモデルを用いた数値実験により、魚介類による動植物プランクトンの捕食と、基礎生産有機物の易分解化により、海域表層のCOD増加現象と、貧酸素水塊の長期化現象を再現できることが判明した。

 

◆伊勢湾の貧酸素水塊改善への取り組み案

 

貧酸素水塊現象の研究への投資(観測点・項目の追加など)

陸域負荷の継続的な削減

干潟と藻場の造成(科学的な検証研究を含む)

市民意識の向上(環境教育による生活排水の削減)

下水処理場の効果的な運用(海域のNPを適応制御し、水産資源量の増加を狙う)

 

NPオフセット政策の導入

NPオフセットとは、カーボンオフセットの概念と同様に、窒素N、リンPの海域への排出量を削減するための投資を行った事業者に対して、水質総量規制の規制値を緩める方法。投資対象は干潟・藻場の造成などとする。

 

 

参考資料 (CRN研究会調べ)

平成 27 年度 漂着ごみ対策総合検討業務 報告書 - 環境省

 http://www.env.go.jp/water/marine_litter/1_h27_hyochakugaiyou.pdf

 

地理空間情報システム(GIS)を用いた漂着ごみの回収・処理実績等のデータ化

  http://www.kaiyoudaichou.go.jp/KaiyowebGIS/

 

海ごみ調査報告書・パンフレット・マニュアル・ガイドライン

 http://www.env.go.jp/water/marine_litter/pamph.html

 

千葉教授が環境県民講座を担当しました | 四日市大学環境情報学部

 http://www.yokkaichi-u.ac.jp/img/pdf/examinee/vol37.pdf

上記の記事抜粋

千葉教授が環境県民講座を担当(2017 年 4 月 1 日発行)

1 月 21 日(土)、三重県立博物館(MieMu)で三重県主催の環境県民講座が実施され、千葉賢教授(環境情報学部)が講師を務めた。

「数値シミュレーションによる貧酸素水塊の未来予測」と題し、約 60 名の聴講者が参加した。

講座の内容は、「数値シミュレーションとはどのようなものか」、「伊勢湾で今何が起こっているのか」、「貧酸素水塊の発生と短期変動のしくみ」、「貧酸素水塊長期化の原因推定」、「数値シミュレーションによる貧酸素水塊の未来予測」、「伊勢湾の漂流漂着ゴミ問題」に分かれ、教授が YouTube にアップしている数値シミュレーションの動画や、伊勢湾の立体地形を見せる Web アプリ、環境情報学部の伊勢湾海洋調査実習の写真の紹介もあり、楽しめる工夫も織り込まれていた。

会場からは、「江戸時代にも貧酸素水塊は発生していたのか」、「下水処理場は伊勢湾の環境に役立っているのか」などの質問があり、参加された多くの方が、伊勢湾の環境問題に興味を持たれたようだ。 と記事がありました。

 

懇親会の様子

 

あとがき

今回は、陸と海に関して共通点を考えてみました。ただし、あいまいな想像です。

腐植酸とは、フミン酸のことで、動植物に由来する天然物質であるようです。

それでは、農業も漁業も栄養分となる腐植物質中のフルボ酸、フミン酸の分画と錯体形成に関して、その経年変化とその詳細な構造分析に関する検討を行い、フルボ酸・フミン酸分画中のどの成分が最も早く溶出して効果がでれば理想と考えられますね。

今後、フルボ酸、フミン酸について研究会の皆さまから情報をいただき演題を検討したいです。  

  「わからない自然に覚ぶ」 

 (CRN 川崎  修)

事務局  川 崎  修